Material

Calf

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バッファローのカーフとヘアカーフをパーツ使いしてブーツをつくりました。
そろそろ冬のコートとともに活躍してくれそうです

先日は久しぶりに浅草へ革の仕入れと道具の買い足しなどに出かけました。
最近では足を運ばなくても、殆どの靴作りの材料は仕入れる事が出来るようになりましたが、やっぱり実際に見て、人と対話して購入する事って大事だなと思いました。
息子を預けて行ったので、限られた時間でしたが、革屋さん、ミシン屋さん、道具屋さんや金具屋さん、それからご無沙汰しているお店へ顔を出しに行ったりして、良い刺激を受けて帰って来ました。
勉強になった事もあり、今回の仕入れではヨーロッパの革を見て来ましたが、国によって革の分類の基準が違う事を初めて知りました。
これは革が好きな方ならご存知かと思いますが、日本ではカーフと言えば生後6ヶ月未満の子牛の革を言い、キップは2歳まで、それより大きな革をステアやカウと言いますが、これはアメリカと同じ定義だそうで。
このカーフの基準を靴産業のメッカのイタリアでは革の大きさで分類し約90デシ以下のもの、ドイツでは牛の栄養をミルクだけのものを示すそうです。草を食べたらもうカーフじゃなくなっちゃうそうです。なので購入する際はカーフと言っても様々、異なるんですね。
ミシン屋さんでは前々から気になっていた糸調子の事や、ならではの裏技、その他の機材の事等も聞く事が出来てありがたかったです。

こうして10年以上通っていると久しぶりでも顔になじみがあり嬉しいものです。何でも手軽に簡単に手元に届く時代ですが、変わらずに大事な事があるはず、、、一足一足、対話しながらその人の足のために靴を作る事と同じ、人との繋がりを感じました。
今回の仕入れで、作るのがワクワクしそうな、良い革や材料が入りましたので、何を作ろうか考えるのが楽しみですね。

Gray strap

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先日、浅草に仕入れに行ってきました。スカイツリーを目前に観光客にまぎれながらせっせと仕事してまいりました。
今回のメインの目的は7月開催予定の「サンダル・ワークショップ」の素材選びです。
イメージに合った革の注文が出来て、一安心です。たくさん声をかけて頂いているので、早くサンプル(って言っても、もっぱら自分用なんです。)を仕上げてお誘いしたい所です。
今月中旬にはみなさんにお知らせ出来ると思いますので、お楽しみに。

通常のワークショップも月々に新しいメンバーが加わり、色々と変化も出て来ました。
やりたい事も増え、みんなのアイディアが工房の在るカタチとなりつつあって、時にはパンクしそうになる時もありますが、やりたい事があるって素晴らしいし、何より毎日が楽しくなるのだから、出来る限り実現していきたいと思います。
「みんなで天然酵母のパンを食べよう!会」とか、靴を大事に履くための「miniくつべらワークショップ」とか、ヌメ革を自分の手で加工して靴をつくるワークショップや、また靴工房では扱わない、素材作りのワークショップなどもやりたいと思っています。興味のある人は声をかけてくださいね。

写真は注文靴。
最近では少なくなってきていますが、丸ごと一足を作る事は大事ですね。自分で作る事で、まだまだ、発見やチャレンジなどもあります。グレーのヌメ革にシンプルなワンストラップ。
〆の箔押しもいい感じです。

革と皮


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ワークショップをしているとよく聞かれる事があります。
それは革の裁断の時の出来事ですが、、、
牛の革を使うけれど、肉はどうするんですか?食べちゃうんですか?と。
まぁ食べてると思うけどね。と答えていた私。
今日は妙に気になって人に聞くのも恥ずかしいので、ちょっと調べてみました。
私達が普段身につける皮革製品は牛や豚、馬、羊、山羊などの家畜で食用とする動物の副産物である皮を使っています。ですから、皮革製品用として飼育されている牛はいないんですね。当たり前の事のようですが、なんかほっとしました。工房でも牛革のカーフ、キップ、ステアは革の柔らかさや厚みが違いますので、つくりたいモノに合うよう慎重にえらんでいます。羊は薄くて弱いのであまり使いませんが、山羊革も大きめのものであれば用途に合わせて使っています。豚や馬は主にクツの裏革に。どの革にしても余分に在庫を抱えているわけではないし、一頭分の形が分かるので、「お命ちょうだい!」するつもりで出来るだけ有効に使えるよう裁断しています。
よく革製品の『革』を『皮』と書いている人がいますが、皮というと私はお肉の方を想像してしまうのでちょっと気分が悪いです。皮は動物の体から剥がしてそのままの状態。革はその原皮を鞣して加工された物を言いうので、革を扱う私としてはなるべく使いわけてもらいたいものです。

こんな話をしているけど、写真は犬~!
だから食いしん坊のデイジィーも工房の革はぜんぜん食べません。

てくてくと。

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浅草に仕入れに行ってまいりました。
近頃ついつい足が遠のき、気がつけば今年始めてになっていました。ストックの少ない資材関係を注文しにいったのですが、せっかくなので馴染みの革屋さんにも顔を出し、素敵な革も仕入れてきました。季節がら、今にも桜の香りがしてきそうな優しい色合いの革です。靴業界、革業界の貴重な話(?)も聞き、新年のあいさつを今さらですがしてきました。
靴の道具でみなさんもよく目にする物に靴磨き用のブラシがあるかと思います。
今日はそのブラシ専門のお店にも行ってみました。今までブラシにはあまり意識していなかったのですが、ある方へプレゼントしようかと思い、ついでに馬毛のブラシを自分用にも購入してしまいました。
いつもながら始めて入る店はちょっと緊張します。店内には靴だけでなくたくさんのブラシが並んでいて声をかけると色々出してくださいました。おまけに毛玉取り用の小さくてかわいいブラシをいただいて帰ってきました。
一日中歩いているので体が冷えていたのですが、そんなみなさんの人柄に心がほっと温かくなりました。

写真は先日、紺色のクツをつくったセツコさんの細ベルトです。彼女オリジナルのロゴ入りです。
たくさん使ってくださいね。

I'll wait for a break in the rain to go out.

本日浅草に仕入れに行ってまいりました。
梅雨明けが待たれるこの時期ですが、午後からは天気も良くなり助かりました。
今年に入って冠婚葬祭やなんだかんだで気がつけば半年ぶりになっていました。
久しぶりの浅草の町並みは少し元気がないような気がしましたが、お世話になっている方々には「大場さん、久しぶりですね。」と温かい声をかけていただけて、変わらず人情あふれる街だなーと感じながら、あちこち回ってたくさん歩きました。
中には、目敏く、結婚指輪に気がついてくれた方もいて、結婚話で大変盛り上がりました。
何をしに来たか忘れてしまうほど長話をして、帰りには「頑張って!」と愛情一本チオビタまで頂き、帰り道にパワー補給して帰りました。

しばらく足を運んでいなかったので、足りない資材関係をまとめて注文してきたのですが、今回のいい発見は手縫い用の糸です。風合いが良くきれいな色の糸は綿や麻のものが多く使いたくないのですが、購入した糸はナイロンにロー引きがしてあるのですが、淡いももいろ・やたまごいろ・やまぶきいろ・つちいろ・エメラルド・みずいろ(手近にあった、幼稚園から使っている36色三菱鉛筆を参考に。)となかなかいい発色です。
革もリクエストのあった色などを仕入れましたので、これから素材選びをする人はお楽しみに。


ちょっと前の出来上がりになりますが、セツコさん作の
ピンクのベビーシューズです。初めはプレゼントの予定
だったようですが、つくっているうちに愛着が湧いてし
まい、記念にご家庭用にされるそうです。

浅草の町

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靴づくりが他のものづくりと違うところのひとつに、一足の靴が出来るまでにとてもたくさんの材料を使うことがあります。
アッパーの革や底材として使う革やゴム・スポンジと、金具や糸・紐・マジックテープなどの他に、外からは見えない部分に必要な中底やシャンク・コルクなどなどたくさんの素材が必要で、それらの資材は月に1回ほど浅草へ出向き仕入れてきます。いつも使っている接着剤などは電話で注文して配送してもらってますが、革はもちろん目で見て購入したいものがほとんどで先日も横浜から浅草へ行ってきました。

靴づくりをはじめたばかりで右も左も分からない頃、問屋さんに行っては冷たく(?)あしらわれ、「そんなものは置いてない」とよく言われたものですが、何度も何度も足を運ぶうちに、
一見、下町のつっけんどんな感じのおじさん達にも狼狽えずに話してみると、とても親切でお話好きで、
「横浜からよく来てるねー」とか
「暑い中ご苦労さま。」とか
「新しい素材が入ったよ。」とか
「お嬢さんにちょうどいい道具が入ってるよ。」だとか
一軒一軒、ただ購入するだけでなく話が弾み、毎回、靴づくりに関する情報などいろいろと収穫もあるものです。私のような個人にも細かな注文や相談にものっていただけるお店も多く、温かい人のたくさんいる町です。

横浜にも昔は10軒近く靴の材料屋さんがあったそうですが、大量生産とともに、国産品が減り、靴職人も減ったことで、今では日ノ出町にある1軒ぐらいになってしまったようです。
ここ数年で、大切な靴づくりの道具のワニやキヤスリなどをつくる職人さんも高齢になり、日本の土地で、日本人の手によって、日本の職人のためにつくられた、使いやすい道具は浅草でも手に入れるのが困難になってきている状態ですので、今ある私の手に馴染んだ道具や職人さんから受け継いだ道具を大切に、長く使い続けたいと思います。

浅草からの帰りには、お世話になったモゲさんのところへ、ご無沙汰してしまったご挨拶と木型の注文をお願いしてきました。モゲさんは健康的に少し痩せられた様子で元気そうでしたし、近況報告もでき、ワークショップも変わらない様子でした。久しぶりの訪問でしたので、5年間過ごした日々が懐かしく感じられました。

写真はスエードのトートバック、こしらえました。
秋になったら使ってくださいね。

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工房に新しく色とりどりのモカ糸が揃いました。
あまりにきれいな色でしたので写真に撮ってみました。
このモカ糸はナイロンの糸にロウが引いてあるため丈夫で作業性にも優れていて、手縫い靴や手縫いのバックを作る時にはとても便利な材料です。糸は他にも玉糸を好きな太さに縒ってチャンといわれる松脂を塗って作る方法や微妙な色を出したい時は染料で染める場合もありますが、通常はこの糸を使って作っています。何より、強度は抜群に良いし水や摩擦にも強く、安定性のある素材なので安心して使えます。手縫いの際の糸の始末は、23重に方結びをするため段差が生じますが、この糸なら結び目を火で炙り溶かしてカナズチで叩いてあげれば簡単に滑らかになります。
ただ、あまり色の種類がないのが以前からの悩みでしたが、先々月、大桟橋で行われたビーズのイベント会場で偶然目にし、きれいな色を取り寄せる事ができました。
物づくりをする上で、優れた素材を適宜に使用する事はとても重要な事ですので、良いものづくりをするため、日々探求していかないといけませんね。
新しい素材を見ると、わくわくして、どんなものを作ろうか、早く作りたくてウズウズして、目前の仕事を放り出し、別の今やりたいと思ったものを作りたい!という衝動にかられる事があります。素材を見て、ここまで興奮してしまうのは私だけかもしれませんが、ワークショップの生徒さんやオーダーの方々も素材選びはとても楽しいところですので、とことん迷って、たったひとつの自分だけのものを作りましょう!