ふぞろい美


ほとんどの人の足は左右対称ではありません。それぞれの足に合わせて木型を補正して作るので、靴になった時も当然左右同じでは無いのです。そんな、わずかな違いも作り分ける事が出来るのは人の手であり脳であります。

手づくり靴は、左右の違いはもちろん、手でつくられた形跡があり、そこにはふぞろいだから感じる美しさがあります。
ミシンが僅かにずれたり、踵の釘穴やミシンの押さえの跡など、作業の段階で出来る跡もまた趣があります。

抜き型やレーザーでカットしたら均一均等、分業で作業効率も良くコスト削減にもつながるけど、そこには人の想いは欠片もない。ひとつひとつ穴を開けたり、一枚一枚包丁で切ったり、一人の手で想いをかけるからこそ心がこもり、思わずにんまりするような物が出来上がるんだと思う。
一律につくる事を追い求めるより、曲がっかた点や線の中に感じる美を求めます。
均等につくる事は訓練で出来ますが、逆は出来ないのです。だから自分の手に自信を持って、個々の足を想い、あたたかい物づくりをしてもらいたいな。

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